「な、なんでもないよ!ね、スミレ!」
「う、うんっ。だから気にしないで、なずなちゃんっ」
なんでもなくなんかない。それだけは確信した。
お互いの顔を見て頷きあったりしちゃって。
むかつく……。
あたしが間接的に仲間はずれにされていることもそうだし、何より、スミレと芹香の間にはあたしの知らない共通の秘密があるということが。
「……そっか。わかった」
だんだんイライラしてきた。
あたしはそっけなくそう返すことしかできなくて、2人から離れた窓際の自分の席へと向かった。
さっき、あたしが来た瞬間2人が隠したものは、きっと美味しいスイーツのお店などが特集されている雑誌とかだろう。
都合の合う日を相談して、その時に一緒に食べに行くお店を決めていたんだ。あたし抜きで。
嘘つき……。
ほら、やっぱり人間はすぐに裏切るんだ。
それでも、あたしが直接耳にした2人の会話が自分の悪口ではなかったことに、少しホッとしている自分がいた。