トイレで話していたことといい、あたしがいないところでコソコソしていることといい。


証拠はないけど、そうに違いなかった。



スミレ達は、あたしの悪口を言っている、と。



正しくは、芹香があたしには言っちゃダメだと口止めしていることから考えると、あたしの悪口を言っているのは芹香だ。
スミレは、その芹香の話をあたしにバレないように必死なんだ。


たぶん、スミレは芹香と違って嘘がつけない性格。ポーカーフェイスなんてものも苦手なんだろう。
それでも、芹香との約束を“友達”としてしっかり守ってるんだ。


そう考えると、つじつまが合う。合ってしまうんだ。


あたしは、全てを悟って、大きなため息をつく。


もしかしたら、芹香からあたしの悪口を聞いて、さすがのスミレもあたしに愛想を尽かしたのかもしれない。


あの尋常じゃない動揺っぷりを見せられたらそう考えずにはいられない。


それでも、トラウマの二の舞にはなってしまったとは思いたくなくて、あたしは慌てて頭からその考えを消し去った。


そうして、自分の理性を保つしかなかった……。