言っちゃダメって、何をあたしに言ってはいけないの?
あたしのことで芹香は何かをスミレに言ったの?


本人であるあたしに聞かれてはいけないことって言ったら……まさか。
でも、あたしにはそれしか思いつかない。


「でも、春風さんっていつも3人一緒にいて、仲良しなんだろうからきっと私の気のせいだよね。ごめんね、変なこと言って」


そんなことを言われても、あたしはもう気になって仕方がない。
何も聞かなかったことになんてできないのに、その子は何事もなかったかのように、また黙々と課題の取り組みに戻る。


あたしは、とてもじゃないけど授業に集中できなくて、結局課題は授業中に終わらず、宿題となってしまった。


でも、きっと家に帰っても手に付かない。
スミレと芹香のことが気になって気になって。


あまりに気になるから、何を話していたのかスミレに問い詰めてみてもいいけど、あの子はたぶん口は堅いだろう。


それに、スミレのあの顔……。


“友達”であるあたしに隠し事なんてしない、と言いながら、スミレは明らかにあたしから逃げてた。


逃げてるだけならまだしも、心なしかあたしを避けたがっているような。そんな感じだった。