「えっと、大丈夫って……?どういうこと?」
あたしが聞き返すと、その子は少し言いにくそうに困った顔をしながらも、声を潜めて話してくれた。
「実はね、昨日の放課後、春風さんが掃除当番で教室にいない時、染色さんと八潮さんが2人で何か話してたの」
ドクン、と。
あたしの心臓が跳ね上がり、これ以上先を聞かない方がいいと警鐘を鳴らしているような。
そんな嫌な動悸がしたけど、あたしは続きを促した。
「ちゃんとは聞こえなかったんだけど……
八潮さんが、『なずなには絶対言っちゃダメ』って……染色さんに言ってたの聞いちゃったんだ」
あたしには絶対、言っちゃダメ……?
「どういう意味……?」
「ごめんね、私もよくわかんないんだけど……。2人と喧嘩でもしたのかなって思って気になって……」
喧嘩なんてしてない。ドタキャンしたあの日から、2人が……特にスミレが一方的におかしいんだ。