そんな、スミレの小さな背中を見送りながら、あたしは中学の時のことを思い出す。
あたしがトイレへ行こうとした時、中にいた蘭とその取り巻きのような女子達が、あたしが邪魔だのなんだの悪口を言っていた。
そう。女子の溜まり場でもあるトイレなんて、用を足すだけの空間じゃないんだ。
それを知ってるからこそ、あたしはスミレの言葉を嫌でも疑ってしまう。
『友達のなずなちゃんに、そんなことするわけないよ!』
本当にそう?
あたしがいながら、芹香と仲良くなろうとするスミレを、あんなふうにあたしから目を逸らしたスミレを、どうやって信じろって言うの?
昨日、あたしがドタキャンをして、LINEではああ言ってくれてたけど、本当は怒ってたんじゃないの?
彩芽とのことが、いくら振り払おうとしても脳裏によぎって、あたしの心の傷をえぐる。
やめて。お願いだから、あたしをもう裏切らないでよ……!