「どうって……もうすぐでホームルーム始まるから2人を呼びに……」
「おお、もうそんな時間か!ありがとう、なずな!」
芹香はスミレを急かしながら、トイレを飛び出し教室へと駆け込んでいく。
「スミレ」
「えっ……!?」
あたしは、芹香のあとを追うスミレを呼び止めた。
「もう一回聞くけど、トイレで何してたの?」
「だ、だから、さっき芹香ちゃんが言った通りだよ!私もトイレしたかったから、芹香ちゃんと一緒に行ったの。女の子って、そういうものでしょ?」
確かに、女子はトイレに行くだけなのに、仲良く連れ添うもの。
だけど、それって、トイレをする為だけじゃない時だってあることを、あたしは知ってる。
「スミレ、何かあたしに隠してない?」
「ど、どうして?友達のなずなちゃんに、そんなことするわけないよ!」
そう言いながらも、スミレはあたしの追求から逃れるように目を逸らし、教室へと入っていった。