目から水って、一瞬何のことかと思ったけど、眠る前の自分を思い出してすぐに判明した。


そうだ……。
あたし、ここで泣いて、それで疲れたのかいつの間にか寝ちゃってたんだった……。


さっき頬に触れてきたのは、もしかしたら涙の跡を拭ってくれたのかもしれない。


そう思うと、寝顔を見られることよりも恥ずかしくて、顔が真っ赤になると同時に自分が情けなくなった。


こんなところで泣いたりして、あたしは結局、何をしているんだ、と。


さっきの夢で思い出したけど、高校に入学する前は、ただ純粋に心から信頼できる普通の“友達”が欲しいと思っていたはずなのに。


それが、彩芽に裏切られてからは、友達がどうとかじゃなくて、どうやったら自分がもう二度と独りぼっちにならないかばかりを考えるようになった。


どうせ友達なんていったって、人間である以上裏切られることは当たり前で、だから必要以上に気持ちを許すことはせず、ただ行動を共にしてくれればいい。


そう思って、スミレを選んだだけ。
芹香が嫌いなのは、あたしのことを邪魔してくるから。