窓から入ってくるオレンジ色の光の強さにやられて、あたしは静かに目を開けた。
「あれ……あたし……?」
自分の部屋で寝ていたわけじゃないことに気付いて、キョロキョロと辺りを見回す。
ああ、そうだった。
あたし、教室で寝ちゃって……。
やっと状況を理解して、自分がここで眠ることになった経緯まで思い出すと、途端に黒い塊みたいな嫌な感じが胸に広がった。
「やっと起きた?」
再び気持ちが落ちそうになった時、聞き覚えのある声が後ろから届いてきて。
振り返るとそこにいたのは、椿くんだった。
「おはよう、春風さん」
「つ、椿くん……!? 何で……」
「屋上でサッカーしてたんだ。で、そろそろ帰ろうと思って教室に来てみたら、春風さんが寝てた」
「そ、そうなんだ……」
ね、寝顔を見られたりしてないかな……!
今更もう遅いのに、あたしは慌ててヨダレが垂れてないか口元を拭った。