『ふーん……』
男子はあたしの答えを聞いても、納得したのかしてないのかよくわからないような様子。
『君は、受かったらここのサッカー部に入りたいの?ここ強いらしいもんね……』
『違う』
今度は逆にあたしが質問してみたけど、彼はあたしから視線を外して何故か眉間にしわを寄せながら、食い気味に言った。
『そ、そっか……』
『……お互い受かるように頑張ろうね。じゃ』
彼は、そう言ってあたしと同じように軽く会釈をして去っていった。
そっちが呼び止めてきたくせに、もう何なのよ……。変な人……。
彼の背中を見送りながら少しむすっとしたけど、まあいいか、とすぐに思い直してあたしも家へと帰った。
変な人……だったけど、名前ぐらい聞いておけばよかったな……。
あたしは、サッカー部の練習を見つめていた時の、切なそうで寂しそうな彼の横顔が頭から離れないでいた……。