「私ね、嬉しいんだ。芹香ちゃんと仲良くなれて」


そう思った矢先、スミレがあたしの気持ちなんか無視するみたいに、嫌な言葉を発してきた。


「……え?」


何で?芹香と仲良くなれたらスミレは嬉しいの?そんなに芹香のことが好きなの?


それとも、スミレにとっての“友達”は、あたしだけじゃ足りないとでも言いたいの?


いろいろ考えを巡らせたけど、あたしの考えはどれも違っていた。


「あのね、私、高校でなずなちゃんに声をかけてもらって、友達になってもらえて、本当に嬉しかったんだ」


一言一言を大切にするみたいに、ゆっくりと言葉を紡いでいくスミレ。


「だからね、もし私と同じで1人で心細い思いをしている人がいたら、手を差し伸べてあげようって決めてたんだ。私がなずなちゃんにそうしてもらって、すごく嬉しかったから」


そして、紡がれた言葉は、あたしが想像もしていなかったもので、あたしはしばらく言葉を失った。