「そ、そうだよ。本当に嫌なら断ってるって……」
〈だよね!よかったー!〉
精一杯取り繕うあたしを、スミレは少しも疑うことなく、「じゃあ、また明日」と残して電話は切られた。
……最初から断っておけばよかったのかな。
そうすれば、あたしは芹香が嫌いだということをスミレは理解してくれて、これから先少しは気を遣うようにしてくれたのかな。
本当に……そうなの?
芹香のことが嫌いだと知っても、スミレは本当にあたしのそばにいてくれる?
翌日。
あまり気がのらないけど、あっという間に放課後になってしまった。
トイレに行った芹香を待っている間、スミレがにこにこと本当に嬉しそうに笑いながら言った。
「なずなちゃん!今日楽しみだね!」
「ああ……うん、そうだね……」
あたしは全然楽しみなんかじゃないけど、スミレのこんな笑顔を見てしまったら何も言えなくなる。
まあ、普通に学校に3人でいる時みたいに振る舞えばいっか……。