予想していなかったことを言われて、あたしは思わず目を丸くする。
今までずっと、スミレのとてつもない鈍さに呆れていたけど、あたしが気づかなかっただけで、スミレもそれなりに何かしら感じていたところがあったらしい。
〈もしかしたらなずなちゃん、芹香ちゃんみたいな元気いっぱいな子とか苦手だったのかなって……。ほら、私みたいな地味で暗い人間に話しかけてきてくれたぐらいだし。だから、ちょっと気になってたんだ〉
なんだ、やっぱりスミレはちゃんとあたしのことを見ていてくれた。あたしの変化に気付いてくれていたんだ。
そうだよ、あたしは芹香が苦手なの。
明日だって、本当は一緒に遊びたくなんかない。
だから、これからは芹香とはあまり関わらないようにしようよ。
そう、スミレに話そうとしたけど……。
〈でも、別にそんなことなかったんだね!〉
電話の向こうの声が、再び明るさを取り戻した。