「雪くん、話聞いてくれてありがとう。今日はもう帰るね」


「どういたしまして」


一方的に相談に乗らせておきながら、勝手に切り上げて帰ろうとするあたしを雪くんは怒ることなく笑顔で見送る。


「まあ、なずなの言ってることは俺には正直よくわかんねーけど、いつでも話は聞くよ」


「……うん」


あたしの“可哀想”な考え方は、たぶん一生、誰にも理解してもらえない。
だけど、雪くんの教科書どおりみたいな考え方を、あたしは理解できないからお互い様というやつだ。


“友達”は、自分が独りにならない為の、自分は独りじゃないことを周りに示す為の、それだけの存在。


学校などの集団で生活する場所において、孤独というのは周りから浮いてしまうもの。それを避ける為には“友達”が要る。


そういう意味での人生で“必要不可欠なもの”であって、大切とか好きとか、そんな抽象的な、形のない感情なんてものは関係ないんだ。