「でも、なずなはスミレちゃんのことも、芹香ちゃんのことも大好きなんだよな」


……は?……え?


「……ちょっと雪くん、あたしの話聞いてた?頭ん中寝てるんじゃないの?」


信じられないことを言われて、あたしはカチンと来て、苛立ちを抑えながら雪くんに言い返す。


さっきまでの話の流れで、どうしてそんな結論が出てくるのか全くもって理解できない。どうやら、雪くんはとんでもなく馬鹿みたいだ。


だけど雪くんは、なおもにこにことして一言。



「だって、ここに来てから今日はずーっと、その2人の話ばっかりしてるぜ」



雪くんのその一言に、あたしは何も答えることが出来なくなった。


好きなんて、ましてや芹香のことまで。だから、それは絶対に有り得ない。


だけど、言われてみれば確かに、さっきから雪くんにスミレと芹香のことばかり話していたかもしれない。