何でそんなことを聞くのか、簡単なことじゃん、とでも言いたげな様子で。
雪くんはあまりにもさらりと答えるけど、あたしはますますわからない。
その理由は、考えなくても明白だった。
「……雪くんは、“友達”のことを、すごく大切で信頼しあえる人のことだって思ってる?」
「え?うん。それ以外に何があるの?」
ああ、だからか。
どうりで理解してもらえないわけだよ。
“それ以外に何が”……。
あるんだよ、雪くん。雪くんはまっすぐな人だから、知らないだけ。
この世には、“友達”を平気で裏切る人がいて、“友達”を平気で傷つける人がいる。
そういう人達は、きっとあたしみたいに、“友達”を孤独にならない為の存在としか思ってないから、そんなことができるんだ。
雪くんは、前に“友達”を裏切ってしまったと言っていたけど、そのことをあんなにも後悔していたし、今だってあたしとは違う考え方の持ち主だ。
きっと、裏切りたくて裏切ったわけじゃないんだと思う。
でも、彩芽は……きっと雪くんみたいな人じゃないもん。
蘭に何も言い返さなかったのが、その証拠。