「そんなの、その芹香って子のこともスミレちゃんにとっては、大事な“友達”だからに決まってんじゃん」


放課後。あたしは、この前サボった時に行った公園に向かった。


そこにはやっぱり、サッカーボールを持った雪くんがいて。


だから、ジュースを奢る代わりに話を聞いてもらった。


そして、「どうして、スミレは芹香といるのか」というあたしの質問に対して、こんな返事をくれた。


「スミレちゃんにとっての“友達”は、なずなと、芹香ちゃんなんだよ」


「それがわかんない。どうして、“友達”が2人も必要なの?“友達”は1人居れば充分でしょ?」


あたしの言葉に、雪くんは何故かきょとんと目を丸くしたあと、心底不思議そうな顔で首を傾げる。


「充分とかそういう問題じゃなくて、
ただ大事だとか、大好きだって思った人が2人いたってことでしょ?」