「でもさ!椿くんって、クラスの人とまんべんなく話すけど、なずなと話してる時はちょっと態度が違うっていうか、なんか特別な感じがするんだよね!」
「何それ……。ていうか、違うから。やめてよ」
この手の話は、どう対応すればいいのかわからなくてあまり得意じゃない。
というよりも、あたしのトラウマの原因のひとつである蘭が、こういう話が大好きだったのもあって、抵抗感を覚えてしまう。
だからこそやめてほしかったのに、芹香はしつこかった。
「もしかしたら、椿くんって、なずなのことが好きなんじゃ……」
「やめてってば!」
芹香の言葉を遮って、あたしは強めの口調で言った。
他愛ない話で盛り上がっている女子高生の昼休み。そんな日常の一コマが、凍りついたものへと変わる。
「あ……ごめん。調子乗りすぎちゃったね」
さすがに空気を読んだ芹香は、苦笑しながらも謝ってきた。