あれから数日が経ち、椿くんとは特別に変わったことはない。
だけど、前よりもちょくちょくと会話をするようにはなった。
それでも、お互いの過去とか一歩踏み込んだ話をすることはないけど、椿くんの優しい部分を知って、前よりは椿くんとの距離が近づいたような気がする。
「春風さん」
「何?」
今日も、隣から突然名前を呼ばれたかと思えば、「はい」と机に紙パックの牛乳を置かれた。
「あげるね」
「いいの?ありが……」
喜んだのも、ほんの一瞬。
「イライラするのはカルシウム不足だからね」
椿くんの次の言葉に、あたしは怒りを露にした。
「いらないわよ!」
「せっかく買ったのに」
「いらない!」
椿くんは仕方なく、牛乳を自分で飲み始めた。