「大和くんは、いつも、目を見て挨拶してくれたよね。……それが、見たくて、声掛けてた」
「は?」
「……え!? え、いや! ほら!」
手をぴたっと止めて、驚いた顔をした彼を見て、自分がなにを口走ったのか気づいて顔に火がついたかのように赤くなる。
なにいってんの! 私! ばかじゃないの!
ウソ、じゃないけど……こんなこと言ったらまるで!
まるで……。
「バカじゃねえの、お前」
珍しく目をそらしてご飯を食べる大和くんの顔が、心なし赤く見える。
私の顔も多分真っ赤で、ふたりでそのまま無言のままご飯を食べた。
居心地が悪い。けれど、嫌な気分じゃない。
こんなふうに大和くんと普通に会話をして、一緒にご飯をしてるなんて、クラスのみんなが聞いたらどんな顔をするだろう。
大和くんは、いろんなことを話してくれるんだよ。
優しいんだよ。
すごく、すごく優しいんだ。そして、すごく、人のことを見てくれるんだ。人の視線から逃げたり、逸したり、しない。
そんな気がしていた。
だって大和くんはいつだって、私の目を見て挨拶をしてくれた。
「早く食わねえと遅れるぞ」
「あ、うん」
ぶっきらぼうにそう言った大和くんの顔は、まだちょっとぎこちない。それが可愛くって、思わずふふっと笑みをこぼしてしまった。
ああ、そうか。
「なに笑ってんだよ」
「なんでもないよ」
私、きっと、ううん、絶対。
大和くんのことが好きなんだ。
もっと、近づきたい、そう思ったら……意地になって隠し続けているのが今まで以上に苦しくなった。