「なんだよもう、みんな。生徒会長として放っておけないじゃん」

「お前はいなくてもいいけど」


 盛大なため息をこぼしながら言った会長に、大和くんが心底嫌そうに突っ込んだ。そんなふうに言われても、会長は怒る様子がない。心が広いのか、気にしないだけなのかよくわからないけれど……。


「誰が仕切る?」


 じゃあ、とみんなが椅子に座るとすぐに、大和くんが言った。

 その言葉が誰に向けられているのか、みんなわかっただろう。だから、会長もなにも言わなかった。


「鷲尾、やってくれよ」

「立森さん……」

「ぼくらの中じゃ一番、きみがそういうの得意だろ。だからこそ……みんなこうしてここに集まったんだから」


 優しい言葉だった。
 そっと背中に手を添えるかのように、とてもあたたかみのある台詞。

 先輩は一度みんなを見渡して、視線を机に落としながら「はい」と小さな声で答えるだけだった。そして、一瞬会長の方に視線を送ってから、唇を噛んで前を見た。


 その表情を見て、胸が高鳴った。
 ……不謹慎だけど。





「じゃあ、今日の9時に」


 そう言って、鷲尾先輩は話を終わらせた。

 昨日7時に学校にやって来て生徒に会ったことを考えると、同じ時間には来ないだろうということになった。もちろん、今日じゃなくて明日、明後日の可能性もある。

 いつまでも続けるわけじゃないけれど、今は数日間のことだけを考えることにして、どうするかを話し合った。


 会長は念のため9時まで学校にいるらしい。浜岸先輩も部活があるから帰るよりも残っている方を選んだ。

 あと、学校と家が近い七瀬先輩は、一度帰ってから7時に一度学校に来てくれる。


 9時に放送室に放送委員のみんなが集まり、私たちは今の教室に集まることになった。そしてそれぞれ幾つかの場所に分かれて挟み撃ちする。

 いつまでも待ち続けるわけにもいかないので、10時半までなにもなかったら帰ることになっている。