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「——日曜日なのに?」
昼前に起きて今日も学校に行くことを伝えると、お母さんは訝しげな顔を見せた。
それに気づかないふりをして「うん」と返事をする。
昨日も遅かったし、今日も出かけるし、怪しんでいるんだろうなとは思うけれど、ウソを付いているわけでもないから説明のしようがない。
お父さんはテレビを見ていて私に背中を見せているからどんな顔をしているのかはわからなかった。
「そう……大変なのね」
目をそらして、自分に言い聞かすようにお母さんが言う。
本当なのにな。
どう言えばわかってくれるんだろう。
いっそ『ウソついてない?』と言われたほうがいい。疑われているのは気分が悪いけれど、ハッキリ口にされたほうが私だって怒ることもできるし、真実だとわかってもらえるように必死に伝えることができる。
私から本当だと念を押すように伝えたところで、余計に気を使わせてしまうことを知っている。
このままクーデターなんて起こしたら……どう思われるんだろう。
いや、そもそもクーデター自体、どうなるのかもうわかんないけど。
本当にあのまま終わっちゃうのかな。
それでいいのかな。
私は、できれば、あんな状態で終わりたくない。でも私になにができるだろう。
……茗子への連絡も逃げている私に。
ため息をつきたくなったけれど、ぐっと堪えて朝ごはんなのか昼ごはんなのかわからないトーストを飲み込んだ。
そろそろ行こうかな、と思ったとき、家の電話が鳴り響いた。
朝から家にかかってくるなんて珍しいなあ。
「はい、相田です、え? あ、久しぶり……え、輝?」
私の名前が出てきて、顔を上げる。するとお母さんの不安に揺れる瞳とぶつかった。
私宛に電話なんて、誰だろう……。友達なら携帯にかけてくるはずだし。なんかのセールスとか? 私に?
「ちょっと待ってね……」
そう言って受話器を空いている手で押さえて声が聞こえないようにしてから「翔子(しょうこ)ちゃん」と告げた。
翔子……? 翔子って、あの、翔子?
瞬きするのを忘れて呆然とお母さんを見る。