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目が覚めて時計を確認すると10時を少し回った頃だった。
今日の用事は美化委員の掃除に……放送室。
でも、何時に行けばいいんだろう。昼過ぎに掃除の約束を大和くんとしたけれど、それよりも前に行くべき?
ううん、そもそも、私も行っていいんだろうか。
ベッドの中でぼんやりと考えて暫くを過ごす。
昨日『私も』と告げたことを後悔しているわけじゃない。大和くんに言った言葉にもウソはない。
でも、私はあの場にいていいのかわからない。
昨日、茗子からメールが来たことも、原因のひとつ。内容はいつもの中身のないメールだ。美化委員はどうだったとか、大丈夫かとか、あと夏休みはいつあいているのかとか。
もしも、私があの放送ジャックの仲間になったと知ったら……茗子たちはどう思うだろう。学校のいじめられっこたちと一緒にクーデターを起こしたら、どう思われるんだろう。
どう思われたっていいじゃない。
だけど、もしも、それが原因で、前と同じようなことになってしまったら。
だからってやめるの?
もしも私が今日、放送室に行かなかったら……大和くんはどう思うだろう。
……軽蔑、されたりするのかな。もう、あんなふうに笑ってくれなくなるのかな。
「あー! もう! やめ!」
悩んでいても仕方ない。
どっちにしても学校には行かなくちゃいけないし。
起きあがって制服に着替えてから1階に降りた。私の姿を見てお母さんが少し驚いた顔を見せる。
「……学校行くの?」
「うん。昨日話した美化委員の仕事で」
「そ、そう」
本当だよ。そう念押ししたくなるほど心配そうな顔のお母さんに思わず苦笑してしまう。
信用していないのならそう言えばいいのに。言ってくれれば私だって本当だ、と言うことができる。
でも、お母さんは言わない。
それは私を気遣っているからなのか、聞きたくないからなのかはわからない。