「じゃ」
返事に満足したのか、大和くんは踵を返す。
え、えっと。どうすれば……!? ホントに帰るの!?
「——明日!」
私も一緒に出ていこうかと思ったそのとき。鷲尾先輩が意を決したように声を上げた。
振り返ると、さっきよりも強い眼差しで私の方、正確には大和くんを見つめてから、ぐるりと部屋の中を見渡すように視線を動かした。
部屋の中にいる全員が、彼の顔を見つめ、彼の言葉を待っている。
浜岸先輩も、なにも言わない。
「明日、もう一度ここに、集まってくれ。まだ、一緒に戦ってくれると思っているのなら。明日まで考えて……それでも……と思ってくれたなら、もう一度集まって、計画を進めよう」
堂々とした口調だった。
最後に彼に視線を送られた浜岸先輩はバツが悪そうに舌打ちをしてから顔を反らせる。
「終業式まで、時間がないのに今日を無駄にして、大丈夫、なの?」
確か、立森先輩。彼が鷲尾先輩をちらちらと見つめる。
でも確かにそのとおりだ。終業式までたっぷりの時間がある、とはいえない。なにをするか、どうするかも決まっていない状態なうえに、ほとんどが"初めまして"のこの関係で……。
「だからこそ……僕等はちゃんと、気持ちをひとつにしないといけないと、思う。僕も、今日は1日考えて落ち着かなくちゃいけないし、みんなも……」
「それでいいんじゃないっすか?」
「僕等は……学校に反乱を起こすんだ。"優劣をつけて子供を格付けする大人たちに、そしてこの学校で偉そうにしている、人たちに"反乱を。それは、変わらない」
そう言って、先輩は「じゃあ明日」と言って目を伏せてから私と大和くんの間を通って放送室を出て行った。