「やっほーぉ。どうしたのふたりなんかいい雰囲気ぃー」

「あんた、なんでそんなにテンションが高いの」


 蒔田先輩が軽い足取りでやってきて、隣に榊先輩が眉間に皺を寄せて歩いている。ふたりとも緊張している感じはなかった。

 先輩たちも、初めて会ったときに比べたら仲良くなったような気がする。私にもこうして話しかけてくれる。

 欠伸をしながらやってくる浜岸先輩も、はじめはすごく苦手だった。いじめっこなんて大嫌いだった。許されることじゃないけれど、彼には彼の思うことがあったんだろう。

 鷲尾先輩と話している姿を見ると、今まで毎日いじめていたなんてウソみたいに見えた。


 次第にみんなが集まってきて、大和くんも「準備できてた」と言いながら戻ってきた。あとは、会長だけ。生徒会だから色々準備があるんだろう。


 みんなが輪になって見つめ合う。

 初めて会ったあの日のようにおどおどしている人はひとりもいない。来栖先輩も久々に学校に来たと、笑っていた。


 もうすぐ。
 もうすぐ、私たちのクーデターが始まる。


 体育館では人が集まってきている。ざわざわと声が聞こえてきて、緊張が高まってきた。






——『我々は、反乱軍である』


 あの日、聞こえてきた声が頭で鳴り響く。
 あの放送が私を変えた。みんなも、変わったんじゃないかと思う。