しばらくぼんやりと空を見上げていた百合が、ふいに振り向いた。



「ごはん、どうする?」



小首を傾げて訊ねられ、俺はどきりとする。


この場合、どう答えるのが正解なんだ?



「一緒に食べる?」なんて、いきなり言ったら、引かれるだろうか。

「俺は家で食べるようかな」とか答えるべき?


どうしよう………。



必死に考えを巡らせていると、百合はちらりと周囲に視線を走らせ、



「あそこでいい?」



と、近くのファストフード店を指差した。


驚きのあまり、俺は「へぇっ」と変な声を上げてしまった。



すると百合は急に決まりの悪そうな顔になり、「ごめん」と呟く。



「なんか勝手に一緒に食べる気になってた………」



「いやいやいや、ちがうって」




俺は慌てて手を振る。




「俺こそごめん………そういうことじゃなくてさ」



「え?」



「………あー、えーと、俺なんかと飯たべていいのかなって思って………」