それ以上見ていられなくて、俺は本を閉じた。
ふと視線を感じて目を上げると、百合がじっと俺を見つめている。
「………遺書、読んだ?」
「読んだ………なんていうか、つらい」
「うん………」
百合は小さく頷いて俯いた。
特攻隊について、もちろん名前くらいは聞いたことがあったし、自分の命ごと戦闘機で敵に体当たりして亡くなった人たちだということはわかっていた。
でも、写真や遺品、遺書を見たことで、その過去が急に、生々しい現実として立ちのぼってきた気がした。
まるで映画か漫画みたいな、現実感のない話。
でも、紛れもなく事実なんだ。
日本は、何てことをしたんだろう。
10代や20代の若者たちを死なせてまで、何が欲しかったんだろう。
戦争なんて、病気だ。
心の病気だ。
敵に勝つことより、名誉より、土地や資源より、人の命が一番大切だってこと、
そんな当たり前のことさえ分からなくなってしまう病気なんだ。
ふと視線を感じて目を上げると、百合がじっと俺を見つめている。
「………遺書、読んだ?」
「読んだ………なんていうか、つらい」
「うん………」
百合は小さく頷いて俯いた。
特攻隊について、もちろん名前くらいは聞いたことがあったし、自分の命ごと戦闘機で敵に体当たりして亡くなった人たちだということはわかっていた。
でも、写真や遺品、遺書を見たことで、その過去が急に、生々しい現実として立ちのぼってきた気がした。
まるで映画か漫画みたいな、現実感のない話。
でも、紛れもなく事実なんだ。
日本は、何てことをしたんだろう。
10代や20代の若者たちを死なせてまで、何が欲しかったんだろう。
戦争なんて、病気だ。
心の病気だ。
敵に勝つことより、名誉より、土地や資源より、人の命が一番大切だってこと、
そんな当たり前のことさえ分からなくなってしまう病気なんだ。