前の学校の友達とは、もう、そうそう会えなくなったんだな、

と思うと、

もうちょっとちゃんとした別れの言葉とかを交わしてくればよかった、

なんて、ガラにもなく思った。



 なんとなく照れくさくて、


「じゃあまたな」


って感じで、さらりと出て来てしまったから。



 ボールを蹴りながらジョギングしているうちに、学ランやセーラー服を着たやつらがぞろぞろとこっちに向かってきた。


 たぶん、新しい中学の生徒たちだ。

 同級生になるやつもこの中にいるだろう。


 同じ年頃のやつらの中で、自分一人だけが私服を着ていることを居心地悪く感じながら、俺はなんとなく、そいつらがやってくる方向に足を向けた。

 逆行するように進んでいくと、学校が見えてくる。


 俺はボールを小脇に抱えて、ゆっくりと中学校に近づいた。


 帰宅する生徒の波はもう途切れて、校舎のほうは静まり返っていた。