「頑張りな」とエールを送ると、それを陽はニコニコと無邪気な笑顔で受け取る。
星奈もそんな様子を優しく見守っていた。
「初デートかぁ……いいね!青春だね!」
「なんかオヤジ臭いよ、星奈」
感慨深そうに言う星奈に、照れる陽の隣であたしはすぐに突っ込んだ。
すると、いつの間にかみんなが登校してくる時間になっていたらしく、教室の中が騒がしくなる。
「おはよー!朔乃、星奈、有明くん」
友達が次々と登校してきて、挨拶をしてくる。
元気良く「おっはよー」と返す星奈に、片手を軽く挙げて挨拶するあたしに、陽はというと丁寧に会釈して「おはようございます」と返していた。
「みんな、朗報ですー。この度、有明陽くんが、天川未羅さんと映画デートに行くことになりましたー」
「さ、朔乃先生っ」
だいたいのクラスメイトが集まったあと、あたしはみんなに呼びかけ、陽のことを報告した。
どうせなら、みんなにもデートに向けてのアドバイスももらったほうがいいかも、と思って。
恥ずかしそうにあたしを止める陽だったけど、クラスのみんなは「よかったね!」とか、「頑張れよー」とか、温かい言葉をかけてくれた。
陽はひとりひとりに笑顔で感謝の言葉を返す。
そうしていると、あっという間に朝のホームルームの時間となり、1時間目の授業が始まった。