もう少しかっこよく、さらりと誘えたらよかつたのにとは思うけど、あたしが言った通りにはできたので、あとで褒めてあげよう。
さて、問題は天川さんの返答だ。
テレビで言ってたことが本当なら、土曜日か日曜日かのどちらかを選ぶはず。
天川さんは突然の誘いに少し驚いたようだったけど、すぐににこりと笑った。
「土曜日なら大丈夫なんだけど、今週はダメなの。来週でもいい?」
……と、いうことはつまり。
来週の土曜日ならOK=デートOK。
すぐに、あたしの頭の中でそんな式が浮かび、「やったー!」と声を出してしまいそうになる。
それを、すんでのところで星奈があたしの口を押さえて止めてくれた。
陽は、まさか本当にOKがもらえるとは思っていなかったのかしばらく放心状態。
「有明くん?」
「はっ!す、すみません!」
天川さんが小首を傾げて呼びかけてきたことで、陽はやっとのことで我に返る。
「あの、じゃ、じゃあ詳しいことは後ほどご連絡さしあげますので、め……メールアドレスを教えてもらってもいいですか?」
「うん、もちろん」
思い出したように慌てて申し出た陽。
明らかに挙動不審な陽だけど、天川さんは気にもとめずに笑顔で「赤外線でいい?」と携帯を差し出す。
「じゃあ、また来週」
今度こそ別れを告げて教室に戻っていく天川さんの背中を、陽は嬉しそうな笑顔で見送っていた。
こうして陽は、無事に連絡先を交換し、デートにも誘えたのでありました……。