「あ、朔乃。有明くんたち、もう掃除終わったっぽい。今ゴミ出しに行ってるよ」


窓の外を見ていた星奈が、「ほら」と指で指し示す。
その先には、仲睦まじい様子の陽と天川さんがゴミ袋を手に並んで歩いた。


……ふーん。


陽と天川さんが一緒にいるのを見たのは久しぶりだったけど、こうして目の当たりにすると確かに順調に仲良くなりつつあるらしいのがわかる。


まあ、頑張ってるみたいだから、当然か。


「よっしゃ!じゃあ、あと追うよ。朔乃」


教室を飛び出し、陽と天川さんのあとを二人にはバレないように尾行する。


さて、どのタイミングで、どうやって切り出すのか見物だね。


そんなことを思っていると、2人はゴミを捨て掃除を終えた。


「じゃあ、またね。有明くん」


校舎に戻り、自分のクラスの教室へ向かおうとした天川さん。


「あ、あのっ!」


すると、陽が天川さんを呼び止めた。


……来た。


頑張れ、練習通りに誘えたらきっと大丈夫。


遠くで見守るあたしの隣で、星奈が「きゃー!有明くん!」なんてはしゃいでる。もちろん本人たちに聞こえないように小声で。