数日が経ち、今日は木曜日。


つまりは、美化委員による朝掃除がある日。
陽にとっては、天川さんと一緒にいられる数少ない時間である。


あれから、どうやったら確実にデートに誘えるかを陽に伝授したあたし。


陽は、今日掃除が終わったら思いきって誘ってみると気合いを入れていた。


「大丈夫かなぁ、有明くん」


「大丈夫でしょ。散々練習させられたもん」


あたしの前の席の人の椅子に座った星奈がそわそわした様子で言うので、あたしは落ち着けと言わんばかりの低いテンションで返す。


「そんな冷めた顔してるわりには、わざわざ朝掃除が終わる時間に合わせて学校来てるんだから、朔乃だって心配してるんでしょ?」


「うっ……」


図星をつかれ、あたしは返す言葉が見つからない。


そう、あたしは今日、いつもより早く学校に来た。


理由は、陽がちゃんとデートに誘えるかこっそり見守るため。


心配か心配じゃないかと訊かれると、そりゃあもちろん心配している。


あんなにもわかりやすい性格の陽だ、緊張してしどろもどろになってさらりとデートに誘えることができない可能性のほうが高い。


それで、こっそり誘うところを盗み見てやろうと思い、今に至る。