「ずっと思ってたんだけど、陽は純粋すぎるから変に小細工とか駆け引きに出る方が不自然になっちゃうと思うんだ。だったら、いっそ好き好きオーラ全開でまっすぐぶつかっていく方がいいんじゃないかな?」


なるほど、と星奈は同意してくれるけど、陽は真っ赤になったまま首をぶんぶんと横に振っている。


「そそそ、そんな!無理です!」


「でも、天川さんはモテモテだから、ありがちなアタックの仕方じゃ響かないよ。今時まっすぐ突っ込んでくる人なんて珍しいから、有明くんのこと強く印象づけるには打って付けだと思うよ」


「で、でも……」


星奈が諭すように言うので、陽も少しばかりおとなしくなったけど、まだ顔には不安の色が隠せない様子。


「怖いよね、拒否られたらどうしようって。断られて、自分が傷つくかもしれないもんね」


あたしが声をかけると、正直に頷く陽。


「でも、恋をするってそういうことなんじゃない?」


「朔乃先生……」


ちゃんとした恋をしてこなかったあたしが言うのもなんだけど。


でも、あたしはこうやって陽にアドバイスして、天川さんとの応援をしている時点で、結構傷ついてるんだよ。


でも、きっと恋をするってそういうこと。


怖くても、いくら自分が傷ついたとしても、好きになってしまったのなら、仕方ないこと。避けては通れない道だと思う。