「すみませんが、美化委員で相談事なんてないです……」
「……そ、そっか。そうだよね」
なかなかいいアイデアだと思ったけど、陽の言葉ですぐにボツになってしまった。
だったら、もういっそのこと……。
今度はあたしが挙手をして提案してみた。
「じゃあ、もうこの際、デートに誘って、その待ち合わせ場所とか時間とか決めなきゃだから連絡先聞いちゃうっていうのはどう?」
「ええっ!? でででデートぉっ!?」
いつもみたいに、陽が大げさなまでに後ろに仰け反って驚いた。
でも、さすがの星奈もあたしの提案には目を丸くしている。
「朔乃、いきなりデートに誘わせるの?」
「うん。もうそれが1番手っ取り早いじゃん」
「でも、いきなりすぎない?」
「ほら……」と星奈が、目線を陽に移す。
陽は、デートという単語を耳にしただけで顔を真っ赤にして、目を回していた。
「デートに誘うなんて至難の業だと私は思うんだけど……」
星奈はため息をつくけど、あたしはそれでもこれが1番だと思った。
「考えてみてよ。陽は、天川さんのことが好きだって100人中100人が見てわかるほどなんだよ?天川さんもわからないはずはないんだよね」
だから、あたしはこれを逆手にとって、ゴリ押しアタックに出るのもいいんじゃないかと思ったんだ。