「ま、まあ、そんなに落ち込むことはないよ。陽の一生懸命さは伝わってきたから」


気休め程度に励ましの言葉をかけると、陽はたちまち表情を明るくする。


「ありがとうございます!朔乃先生」


にこっと微笑みかけられる、心臓が跳ね上がるのを感じた。


「いちいちお礼はいいから!ほら、もう一回」


勝手に赤くなってしまう顔。
それを見られないようにそっぽを向いて、あたしは指示を出した。


「でも先生、話の流れって言われても、どうやったら連絡先交換の流れになるんですか?そうなるような話って、どんな話をすればいいんですか?」


疑問を投げかけられ、あたしはしばらく考える。


うーん、改めてそう聞かれると難しい。


「例えばだけど、有明くんが委員会関係のことで相談したいこととか、緊急の連絡事項とかあれば、自然な流れになるんじゃないかな?」


星奈が提案した。


確かに、「相談したいことがあるんだけど、ここじゃ話しにくいから……」みたいな話をすれば、「じゃあメールで」みたいな流れで連絡先は交換すると思うし、そのあとも少なくとも相談事が解決するまでは、ちょくちょくメールを続けることもできる。