「3年生になってすぐの頃、朔乃先生が男子に告白されてるのを偶然見てしまったことがあったんです」
3年生になったばかりの時……。
ああ、後輩の男子から告白されたあの時か。
あの子も、本気の告白だったから、あたしの答えはNOだった。
名取くんほど未練がましくなくて、すぐに諦めてくれたけど。
「僕も朔乃先生の噂は知ってたから、今回で何人目になるんだろうなんて思ってたんですけど、朔乃先生はその告白を断っていたからとてもびっくりしました」
陽の話はこうだ。
男と別れたかと思えば、またすぐに別の男と付き合い出す、男を取っ替え引っ替えすると有名だったあたしなのに、何故その時は断ったのか。
そのことがものすごく気になった陽は、あたしと仲の良い人たちに、今まであたしが振った相手が他にもいるのかを聞いたらしい。
そこで、あたしが付き合うのは遊んでいそうなチャラチャラした男ばかりだということや、あたしが彼氏に触れさせないせいで長続きしないことなどを知ったんだとか。
「そこで、僕は考えたんです。もしかしたら朔乃先生は、本当はすごく純粋な女の子なんじゃないかなって」
陽は、笑ってそう言ったけど。
“純粋”……?
陽の言葉が信じられない。
だって、あたしは……あたしは……。