放課後になり、今週掃除当番だったあたしは、手際よく掃除を終わらせてゴミを袋にまとめる。


校舎の外にあるゴミ置き場に、2つの袋を両手に抱えて歩いていると、近くに人がやってきたような気配を感じたあと、右手の重みが突然なくなった。


「手伝うよ、如月さん」


「な、名取くん……。いいよ、別に……」


「遠慮しなくていいから」


にこやかに言う名取くん。


毎日のように付きまとわれて嫌気がさしていたあたしは、こうして隣同士で歩いているだけでも嫌だった。


名取くんが勝手に楽しそうに何か話し始めたけど、あたしは適当に相槌を打つだけでほとんど聞き流す。


「それでさ、先生がすげー面白くて!」


「へぇー……」


ゴミは無事片付けられたのに、今日も長くなりそう。早く帰りたい。


陽に、「今日も先に帰ってて」と言っておいて正解だった。


あたしは、陽が天川さんの連絡先をゲットできる良いアイデアを考えなきゃいけないっていうのに……。


名取くん、いくらやっても、あなたがあたしを本気で好きな限り、あたしの気持ちは変わらないんだよ。


「それでねー!……って、如月さん、聞いてる?」


「あ……ごめん。何?」


校舎に戻る途中で怒ったように言われてしまい、あたしは慌てて彼に笑顔を向けるしかできなかった。