その日のお昼休み。


お弁当を食べ終わり、星奈とおしゃべりしていたあたし。


すると。


「朔乃ー!呼んでるよー!」


教室の入口のほうからクラスメイトがあたしを呼ぶ。


何だろう、と首を捻りながら廊下に出てみると、そこに数人の男子生徒がいた。


何度か顔は見たことあるけど、名前まではわからない。


「えーっと?」


「と、隣のクラスの名取(なとり)です!」


「あ、どうも……」


名取くん?あたしに何の用だろう?
ていうか、今まで同じクラスになったことあったっけ?


「ほら、名取!とっとと行ってこいよ」


名取くんは、周りの友達らしい男子たちに文字通り背中を押され、あたしの前に一歩出る。


ふむ、イケメンというほどではないけど、陽よりは身だしなみに気を遣っている印象だ。
髪も真っ黒というわけではなくて、毛先のこの跳ね具合は少しワックスで手を加えていそう。


陽のサラサラだけど何も遊ばせていないペッタンコな頭を思い出して、あたしは思わず吹き出してしまいそうになったけど、なんとか堪えた。


「で、名取くん。あたしに何か?」


「は、話があるので……来てください!」