全員が引き終わると、みんなが揃って席の移動を始める。


あたしの周りはというと、前も斜め前も隣も、話したことのない人達ばっかり。


チャラくて騒がしいあたしとは対照的な、真面目でおとなしい人達に囲まれてしまった。


ど、どこが神席なんだ……!


これでは授業中誰とも話せないではないか!
いや、本来授業中は話さなくていいんだけど、でも寂しいじゃん!


特に隣の有明陽(ありあけ よう)くんは、クラスで誰も勝てる人がいないくらいの地味な奴。


ああ、どうすればいいんだ。次の席替えはいつなんだ。


「星奈〜。みんな〜」


あたしは机に顔を突っ伏して、ひとり寂しく嘆きの声を上げるしかなかった。


「じゃあ、ホームルーム終わり!このまま帰っていいぞー」


先生の言葉で、みんながワイワイ騒ぎながら帰り支度を済ませて教室を出て行く。


あたしも帰ろうかな……。


そう思って、バッグを取り出した時だった。



「あ、あの……如月さん」



ん?どこからかあたしを呼ぶ声が聞こえたような。


キョロキョロと辺りを見回してみるけど、誰もあたしを呼んだような様子はない。


あれー?おかしいな。


そう思って、また帰り支度を再開しようとすると。