確かにあたしがそう言えって言ったんだけど、何も間違っていないんだけど。
それだけ、という言葉がやけに耳に残って、嫌になる。
「わ、わかったって、二人共」
「ごめんね、ちょっとからかいすぎちゃった」
あたしと陽に、みんなが謝ってくれた。
たぶん、これでみんなもわかってくらたはずだから、今後こんなふうに冷やかされることもないだろう。
なのに、どうして心の中がスッキリしないんだろう。
「有明!俺らも応援してるからな!」
すれ違い際に、陽の肩にポンと手を置いて、クラスメイトが声援を送る。
「あ、ありがとうございますっ」
相変わらず、同級生相手に敬語で話す陽。
嬉しそうな陽のほころんだ顔。
それを見ていると、今度はイライラとしてきてしまって、あたしは距離をとるように教室をあとにする。
放課後になるのが、初めて憂鬱に思えてしまった……。