そして、お母さんと海星さんは、揃ってあたしにこう言ってくれた。
「朔乃も、大学卒業おめでとう」
「4年間、よく頑張ったね。朔乃ちゃん」
2人の祝福を受けて、あたしも「ありがとう!」と元気いっぱいに返す。
「ほら、そろそろ行かないと遅刻しちゃうわよ」
「彼もずっと待ってるんじゃないか?」
2人に言われて腕時計で時刻を見ると、家を出るはずだった予定の時間はもうとっくに過ぎていた。
「ほんとだ!いってきまーす!」
「「いってらっしゃい」」
お母さんと海星さんに見送られ、あたしは家を飛び出した。
丁寧にセットした髪が崩れないように気をつけながら、駅までの道を駆け抜ける。
「あっ!」
やっと駅に着くと、待ち合わせの場所黒いスーツに身を包んだ“彼”がいた。
「陽ーーーっ!!」