いつも思うけど、ありがとうって言うのはあたしの方なんだよ、陽。
あたしを先生に選んでくれてありがとう。
あたしに恋を教えてくれてありがとう。
朔乃って、呼んでくれてありがとう。
「あたしも……陽の先生になれてよかった。
ほんとに、本当に、よかった……!」
口にしたと同時に、涙が堰を切ったように次から次へと流れてきて止まらなくなってしまった。
「わっ!? だ、大丈夫ですか?」
慌てて駆け寄り、あたしを必死でなだめようとする陽の胸に、あたしは迷わず飛び込んだ。
「さ、さくっ……」
「うっ……ぐすっ……、陽〜!大好き〜!」
「ええっ!?」
ぎゅうっと陽の体を抱きしめると、陽は少し苦しそうに身じろいだものの、大人しくされるがままでいてくれた。
やっと、素直に好きだって言えるようになったんだから、今日ぐらいこうしたっていいよね。