い、意地悪ーっ!!


このクラスで常に最下位争いをしているこのあたしが、数学の問題なんていきなり解けるわけがない。


なんて嫌な奴なの!だから、こんな中途半端なバーコードハゲになるんだよ!


授業をきちんと聞いていなかった自分が悪いのに、あたしは心の中で盛大に悪態をつく。


とにかく教科書を開いてみるけど、全く持ってわからない。


えーと、あの問いは、どの公式に当てはめれば解けるやつなんだっけ。


早くしろ、と言わんばかりの先生の視線が痛い。痛すぎるぐらいにビシビシと感じる。


あたしは必死で教科書にある公式やら解説やらに目を通すけど、全然頭に入ってこない。


もう、なんだか目が回ってきそう。


これはもう、怒られるの覚悟で正直にわかりませんって言うしか……。


そう思った時だった。


――ガタッ。



「……っ、x=12です!」



……え?


隣を見ると、あたしと同じように立ち上がり、手を挙げて。


顔を真っ赤にしながら、大きな声でそう答えた陽がいた。