「陽。“最後の授業”をしたいから、今日卒業式が終わったら教室で待っててくれる?」



陽は、あたしの“最後”という言葉に一瞬怪訝そうな顔をしたけど、あたしの真剣な様子を察してくれたのか、また笑顔を浮かべて頷いてくれた。


「それでは3年生の皆さん、体育館へどうぞ」


1年生と2年生の生徒会の人達が、あたし達を廊下に整列させる。


そして、配られた花を胸につけると、すり減った上履きで体育館へと向かった。


あたしは今日、卒業する。


学校はもちろんのこと、今までのだらしない恋愛をしてきた自分からも。


そして、陽の“先生”からも、卒業します。


あたしは、清々しく落ち着いた気持ちの中に、少しのドキドキを抱えたまま、卒業式へと臨んだ。