「お母さん……」


わかった、ということなのかな……。


戸惑うあたしを見て、海星さんも「あははっ!」と声をあげて笑う。


「朔乃ちゃんにはかなわないな!でも、嫌われてなくて本当によかったよ!」


「海星さん……」


海星さんは、お母さんと同じく静かに立ち上がると、テーブルの向こう側から右手を差し出してきた。



「じゃあ、未来の家族として。
よろしくね、朔乃ちゃん」



嬉しそうに、心から幸せそうに、海星さんが目尻を目一杯下げて微笑んでくれる。


あたしも、お母さんに抱き着かれたまま右手を出し、海星さんのそれをぎゅっと握り締めた。


未来の家族。


きっと、楽しくて、温かくて、笑顔の絶えない家族なんだろうな……。


そう思うと、あたしはなんだかまた泣けてきて、でも嬉しくて。


泣き止んだそのあとは、皆で笑いながらすっかり冷めてしまった料理を美味しく頂きました。