「おはようございます!朔乃先生!」
予想通り、教室に入って席に着くなり、元気な挨拶が隣の席から飛んできた。
「うん、おはよ」
声の主は、言わずもがな。
目をキラキラとさせ、あたしに軽く頭を下げる陽。
「朝から元気だねぇ」
「はい!」
朝に弱いあたしとは対照的に、陽はハイテンション。興奮が抑えられないといった様子。
「まあ、その様子だと……」
あたしが聞こうとしているのが、昨日の委員会のことだとすぐにわかった陽は、満面の笑みを浮かべた。
「朔乃先生のアドバイス通り、見事木曜日の朝掃除は一緒の掃除場所になりました!」
明るい声で答えたあと、何故かビシッと敬礼してみせる陽。
何をやっているんだか。
よっぽど嬉しかったんだろうな、ということが手に取るようにわかる笑顔。
それに若干呆れつつ、あたしも「よかったね」と言葉を返してあげた。
「やったじゃん。陽」
素直に褒めてあげると、陽はえへへと照れ笑い。
子供みたいなその様子が、男子だけど少し可愛く見えた。