「私はね、家で3人でまったりしながら話せばいいと思ってたんだけどね」
あたしが思っていたことと全く同じことを、お母さんが口にしたので驚いた。
「海星くんがね、『真面目な話だし、まだ自分は“家族”じゃないから』って聞かなくてね」
海星の顔を思い出したのか、お母さんが柔らかく微笑む。こんな顔、久しぶりに見た。
本当に、海星さんのことが好きなのだと実感した。
でも、あれだけいろんな人たちと付き合っていたのに、どうして年下の海星さんだったんだろう……。
「ごめんね!お待たせしました!」
そんなことを考えていると、ピシッとしたスーツをまとった海星さんがやって来た。
清潔感があって、爽やかで、もさっとした陽とは大違いだなぁ、なんてぼんやりと思う。
海星さんは、あたしの方を見ると、穏やかに目を細めて笑った。