結局、なんだかんだ言いながらも、あまりにも美味しくてカツ丼をペロリとたいらげてしまったあたし。
そのあとの支度を済ませ、再度受験票を持ったか確認。
よし!完璧!
外は雪が降っていたので、予定よりも早めに家を出ることにした。
「じゃあ、いってくるね」
ローファーのつまさきをトントンと鳴らして履いたあと、玄関まで見送りに来てくれたお母さんを振り返る。
「うん、いってらっしゃい。頑張って」
お母さんはにこっと笑って、あたしの頭をポンポンと撫でてエールをくれた。
子供じゃないんだから、なんて思いつつも心地いい。
「お母さん。受験が終わったら、ちゃんと話そう。再婚のこと」
海星さんと3人で、と付け足すと、お母さんは嬉しそうに目尻を下げた。
「朔乃の思うこと、ちゃんと聞かせてね」
「うん。じゃあ……いってきます!」
あたしも笑顔を返し、軽く手を振りながら家を出た。