歩きながら、曇った顔を笑顔に変え、どんよりとした暗い気持ちを必死で心の底に沈める。
あたしが、次から次へと新しい男と付き合うのは、母親がいない寂しさを埋めるため。
そのことに、星奈以外の人達は知らない。
言うつもりもない。
父親と別れてから、あたしが知る限りかれこれ十数人の男と付き合っている母親。
その人と、あたしがやっていることはたいして変わらないから。
『私はわかってるつもりだから』
星奈は昨日、あんなことを言ってくれたけど、あたしは我ながらただれた恋愛をしているなとは自覚している。
だからこそ、有明……じゃなくて、陽みたいに、まっすぐな恋をしている人が眩しくて仕方が無いんだ。
そういえば、陽は、昨日の委員会で決める掃除の分担を、計画通り天川さんと一緒になれたんだろうか。
委員会があったのは昨日の放課後だったので、陽に授業をすることはなく、あたしは先に帰って今に至る。
良い報告を期待しよう。
そんなことをぼーっと考えていると、いつの間にやら学校に着いていた。