家に着くと、陽があたしの腕を離す。
掴まれていた部分が熱を持っていて、ドキドキを抑えるまでに時間がかかった。


「朔乃先生のお母さんって、今家に居ますか?」


「え……どうだろう。居ないことのほうが多いけど……」


あたしがそう答えると同時に、車が走ってくる音が聞こえた。


その音の主の真っ黒なかっこいい車は、あたしの家の前に停車。


中から出てきたのは、噂をすればの母親だった。


「あ……」


助手席から降りてきたお母さんに続き、運転席のほうからは海星が出てくる。


「朔乃……。と、お友達?」


「こんばんは。朔乃さんのクラスメイトの有明陽と申します」


再婚することを報告されてから、きちんとこうして向かい合ったのは初めてで、どうすればいいかわからない。


あたしは、思わず陽の後ろに隠れるようにお母さんの視線から逃れた。