「陽、もう大丈夫だから泣かないで」


「大丈夫じゃないですよ!何も知らなかった自分が本当に情けないです!朔乃先生がいつも笑ってるから、いろんな人と付き合ってた理由もそんな原因があったとか、全く想像もしていなくて……!」


あたしが泣かない代わりに陽が泣いてくれているのかと思うほど、顔をぐしゃぐしゃに歪ませて涙を流す陽。


「朔乃先生、僕じゃ頼りないかもしれないですけど、愚痴を聞くぐらいならできますからもっと頼ってください!僕に今までのお礼をもっとさせてください!」


お礼を言うのはあたしのほうだよ。
こんなふうに、あたしを思って泣いてくれる人に出会えたことを、どれだけ感謝すれば足りるだろう。



「陽のその言葉だけで充分だよ……ありがとう……!」



陽の優しさに触れて、改めてその幸せを実感すると、陽につられるように涙が頬を伝った。